サニー・ハンセンのキャリア理論ガイド③:「ILP(Integrative Life Planning) 統合的ライフプランニングの実体とは」

こんにちは、キャリア・インサイトのジョシュです。

好評いただいているキャリア理論紹介、サニー・ハンセンの第三回をアビリティスタッフさんからお届けします。


ボーンフリーなどの活動を通じてやがて統合的ライフプランニングに到達したアメリカの心理学者サニー・ハンセン。今回はその実体に迫ります。


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ILP(Integrative Life Planning) 統合的ライフプランニングの実体 



photo credit: Nils van Rooijen Along the Voerweg via photopin (license)



ILPとは、人生やキャリア設計に対する包括的なアプローチを指します。

仕事を、他の生活の役割や関係の中で、または人生のなかで捉えるということです。

「統合的ライフプランニング」という概念には

・生命(身体、心、精神)
・生活上の役割(愛、学習、労働、余暇、市民生活)
・文化(個人およびコミュニティにおける文化)
・性(男女双方にとっての個の充足および結合性)
・コミュニティ(地球全体と地域)
・考え方(合理的と直感的)
・知り方(量的と質的)
・連携(個人的な事とキャリアの連携)

といった様々な側面を含みます。

「統合的ライフプランニング」において、キャリアを形成しようとする人に対し、キャリアカウンセラーは、その人がより包括的な生活を実現し、その選択や決定を通して社会に積極的な変化をもたらす人になることを手助することが大きな目的となります。
前回までの解説でも取り上げたように、個人主義的な充足のために仕事を見つけることばかりを焦点を当てて支援をするばかりでなく、社会共通の善(the common good)のために個人の才能を生かすということに重点を置くのです。

統合的ライフプランニングの概念は次のような価値観により成り立っています。

統合的ライフプランニングの概念を構成する価値観


1.世界や家庭では劇的な変化が起こっており、キャリア・カウンセラーは大きな視野でものを見ることが求められている。
クライアントに対し、彼らもその変化についていけるよう手助けることが必要である。

2.キャリア・カウンセラーはクライアントが、直線的な志向ではなく、統合的志向の技能を発達させることをサポートすることが重要である。

3.自分の人生や文化における重大な課題主なテーマに基づいて優先順位をつけることは、人間発達不可欠である。

4.変わりゆく社会とそのなかで生きる個人の状況やテーマを理解する上で、新しい個に対する知識と、社会に関する知識が決め手となる。

5.「統合的ライフプランニング」のプロセスにおいて、変化の必要性と変化を担う意思をともに確認することは必要不可欠である。多様なレベルで変化は起きえるし、個人の変化が社会の変化をもたらすのである。

さて、それら概念のベースの上で、「統合的ライフプランニング」はこれからの時代に個人や文化が直面する6つの重要課題を指し示します。
まさにこれが個々の人間が人生で捉える大きな課題であり、統合的ライフプランニングが提唱するメッセージの中核となるのです。

 

統合的ライフプランニングが提唱する6つの重要課題


①グローバルな状況を変化させるためになすべき仕事を探す。
②人生を意味ある全体像のなかに織り込む。
③家族と仕事の間を結ぶ。
④多元性と包括性を大切にする。
⑤個人の転機と組織の変革にともに対処する
⑥精神性、人生の目的、意味を探求する。

これら6つの重要課題に見られるように、統合的ライフプランニングは個人の包括的な成長だけでなく、社会としてのある種の目指すゴールも視野に入れているのです。
女性の社会的権利の問題などに取り組んできたサニー・ハンセンらしい視点であり、この理論の大きな特徴と言えます。

次回はこの6つの重要課題について、さらに深く掘り下げて見てゆきます。



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