オンリーワンで世界でひとつだけの自分に酔っているのは危険?|クランボルツのプランド・ハプンスタンス・セオリー

   
みなさんは自分自身のキャリアを振り返ったときに、思わぬ偶然や出会いが、新しい自分の能力を切り開いたという経験はありませんか?

そんな、「幸福な偶然」を自分で制限してしまわないための秘訣が、今回のキャリア理論のテーマです。


世界にひとつけだの花転職のリスク|クランボルツのプランド・ハプンスタンス・セオリー




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世界にひとつだけの花の転職?


みなさんは、転職をされるとすれば、どのような転職をなされたいでしょうか。転職というからには、今現在の仕事であったり、企業であったりに、不平、不満とまで言わなくても、何かしら満たされない、次のステップに進みたいがために新しい環境を求めることですよね。

私が、多くの方と転職に関するご相談を受けるにあたって、非常に多いキーワードがあります。そしてそれがとても気になっているのです。

それは以下のようなものです。

自分らしい仕事をしたい
自分の好きな仕事をしたい
自分が生かされる仕事をしたい
オンリーワンの仕事をしたい

最近特に、まるで、みなさんなにかの呪文にかかったかのように、こういったことを良く言われます。

好きな仕事で、自分の得意な仕事で、自己実現をしながら、オンリーワンの仕事をして評価されたい。

なぜなら、私は、たったひとりの私だから。かけがえのない私だから、私にしか出来ない仕事があるはずだ。

他人と比較したくない、されたくない。そんな自分に素直でいたい。
そして、それで評価されれば、きっと幸せになれるはずだ。


この感じ、どこかで聞いたことがありますよね?そうです、私はこれをSMAPの世界にひとつだけの花の歌にかけて
「世界にひとつだけの花転職」と自分の中で呼んでいます。

自分の能力を生かし、自分の意欲があることを仕事に選ぶ、というのはキャリア理論でももはや当然の考えですから、それを否定する気は全くありません。

ただ、私が申し上げたいのは、あまりにも、自意識が高くなりすぎて、オンリーワンにこだわりすぎるがために、多くの方が幅広い可能性を狭められているように感じるからです。
それがとても残念なのです。

「その職場では私にしか出来ない仕事がない」
「私のアイディアを受け入れてくれる準備がない」
などは、まだしも、
「その企業は、ありのままの私を評価してくれていない」
「私を個性を受け止め、生かしてくれない」
などなど。まるで、恋人や親友にでも要求する条件のようです。

ちょっと辛口ですが、そんなオンリーワンな個性、いったい企業にとってどのくらい価値があるのでしょうか。

例えば、コンサルタントの山口周さんはそのことを以下のように表現されています。

実際には「世界に一つだけしかない」ということはそのまま価値を持っていることを意味しません。
足元に転がっている石コロでも全く同じ形のものは世界に二つとないわけで「世界に一つだけのオンリー1なんです」と言われても、価値判断をする側としては「は?だから何?」としか応えられないでしょう。

人にはそれぞれのかけがえのない個性や魅力があり、一人も軽んじられるべきではないでしょう。
それぞれ、好きな歌を歌えばいいし、山に篭って自給自足の人生を送られても、それぞれの方の人生で、こだわりがあって素敵なことだと思います。

ですが、一般的に、企業から企業への転職で、そのオンリーワン理論を当てはめすぎるのは、とてもリスクや弊害が多いと思うのです。

一番のリスク、それは、
こだわりがあるがゆえに、その人の可能性を狭める、ということではないでしょうか。


キャリアは偶然によって形成される


スタンフォード大学のジョン・クランボルツは、彼の実証研究の中で、成功者のキャリアの8割は偶然によって形成されていると分析しました。
彼は、この偶然におけるキャリアの成長を積極的に認め、将来のキャリア形成の成功に導く重要な手法に取り入れました。
これが、プランド・ハプンスタンス・セオリー(計画的偶発性理論)です。

人生は何が起こるかわかりません。転職やキャリア形成ももちろんそうです。
そうしたときに、「自分はこうだ」「自分はこうしていかねばならない」などと硬直的に捉えるのでなく
積極的に偶然から起こるキャリアの成長を促していこうという考えです。
このハプンスタンス・セオリーを実践する上で、必要な要素をクランボルツは5つ表しました。

・好奇心
・持続性
・楽観性
・柔軟性
・冒険心

クランボルツは、この5つの因子を持つ人が非常に「いい偶然」に恵まれやすく、そして成功し易いと定義付けたのでした。

人は生まれたままで皆オンリーワンであり、それだけで価値があります。
ですが、転職というビジネスの中で積極的に自分の価値を他者に判断してもらう世界の中では、自己完結、自己満足的なオンリーワンでなく、本当に価値のあるオンリーワンを目指していかなくてはいけないのでないか、と思うのです。

そのときに、あまりに自分の願望、こうありたい、こうなりたい、こんな職場が良い、好きなことだけしたい、などと可能性を限定してしまっては、それがむしろその人の本来掴みえたであろう、可能性としてのオンリーワンの魅力を、自分から放棄されているような気がしてとても残念な気持ちになるのです。

好奇心を持って柔らかな心で、自分の未知の世界や新しい環境にチャレンジしていく。それがきっとあなたの可能性を大きく広げることでしょう。

プランド・ハプンスタンス・セオリー、ぜひ覚えておいて下さいね。


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